徒然ぐせ vol.135

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編集長・原田のコンテンツエッセイ Vol.135


 朝の散歩で「ハナちゃん」と声をかけてくださった方がいた。ハナちゃんのことを知っているんだろうと嬉しく思った。ハナちゃんは腫瘍の手術をしたので後遺症で後ろ足を引きずって歩くようになっている。それでも奇跡的に回復し歩けるようになったのです。多分その方はハナちゃんの手術のことをご存知で、ハナちゃんが元気でいるのを見て喜んで声をかけてくださったんだろうと思った。心の底から嬉しいと喜びが湧き上がってきた。帰りながらハナちゃんに「ハナちゃん良かったね。ハナちゃんのことを知っている人がいたよ…」と声をかけながら歩いた。 
 ハナちゃんの病気は、ほとんど助からない犬たちが多いのです。運良くハナちゃんは助かることができましたが、同じ病気でハナちゃんの前に手術をした犬と後で手術をした犬は手術は成功しましたが、1年後と半年後に亡くなったのです。ハナちゃんは、半年ごとに山口大学に病後の経過を診てもらいに行っていましたが良好で、その手術と経過を山口大学の担当の教授が学会で発表して、これから同じ病気の犬たちの役に立つようにするということでした。今まであまり知られていなかった病気のようでしたが、同じ症状の子が山口大学に続いて来たので、きっともっと多くの犬たちがこの病気を発症していたが、分からないまま亡くなっていったのではないかと思います。
 病気になったのは大変でしたが、これからの役に立つことができとても嬉しいとハナちゃんと一緒に思っています。ハナちゃんのリハビリの頑張りも、スタッフの介護の頑張りも、きっとこれで報われると思うと心が豊かな気持ちになってきます。 
 捨てられて行き場を失ない、孤独と不安と悲しみと闘って頑張って生きていたマザールーフの犬たちが、何かの役に少しでも立てることに、頑張って生きてきたことが無駄ではなかったと思えることに„良かったね"と声をかけたい。頑張ればきっと喜びがやってくるものですね。